はらり、ひとひら。
睨みあげるが意に介さず、彼女はけたけた声をあげて笑った。う、自分に馬鹿にされてるの変な感じだし凄い腹立つ!
「それは出来ん。こんなに良い体を手に入れられたんだ。絶対返さない」
これは私のもの。
響いたセリフに頭に血が昇ると同時に、明確な焦りを感じとる。
今まで血を狙って襲ってくる妖はたくさんいた、だけどこんなことする妖、前代未聞。
澪が何を考えているのかさっぱりだけど、もし血を─妖の力を高める修羅の血を、悪用されたりでもしたら。
妖力を得た妖がもし─町に出てきたら。何人の人が犠牲になるだろう。
「っ」
恐ろしい。想像するだけで寒気がする。駄目だ本当に、どうにかしなきゃ…
「この体は不思議だ。人の身になったのは勿論初めてだが、とても居心地がいい」
「そりゃどうも!でも悪いけど返してもらうからね」