はらり、ひとひら。


ぐっ、と力を込める。自分の首を自分で締める可笑しな光景に変な心地がした。



「自分の体なのに平気なのか。馬鹿だな」

「生憎丈夫だけが、取り柄だからね」

「ふん」


鼻を鳴らした澪は私の頭に触れると短く囁く。


「吹き飛べ」


「─っ」


すんでのところで離れて、直撃は免れた。危なかった、首と胴体が別れるところだった。


「言霊のこと、なんで知ってるの…!?」


「お前を監視させてもらっていたからな。そのくらい知っている。…あと」


にやり、唇が弧を描く。


「お前の家族の顔も、友人も、全部一通り知っている」


だから、いつでも殺せる。そう言いたいんだろう。


「…」


……お手上げだった。
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