はらり、ひとひら。
「待ってってば!あんたね、本当…いい加減にして!!」
「きゃ!!?」
頭来た、もうこうなったら力ずくで…!
「っ、ちょっ─と!い、痛いわね何すんのよッ放しなさいよ!!」
「あんたこそ!私の体返してよっ」
「何意味わかんないこと…!」
「返すまで、帰さないわよ!!」
叫んだと同時に思い切り澪を引っ張ると、自分の長い黒髪が揺れた。澪が転んで地面に倒れるのと同時に彼女に圧し掛かって身動きを封じる。
早く、早くして。
じゃないと私─何をするかわからない。
「やめろ三下」
─一拍理解に遅れて、茫然とする。
反射に従うまま、ごぼりと水を吐き出す。冷たい。…ここは水中?池の中に落ちてしまったんだろうか。
師匠の攻撃をまともに食らったのは初めてだ。
あぁ…痛いなあ。
「ししょ…う」
待って、いやだ。
「行くぞ」
いかないで。