はらり、ひとひら。


[夏日に白雪]


「っあー、あっつ…」


なんだこれ、暑すぎる。これでまだ4月とかありえん、とコップの水を一気に飲み干した。


「今日は夏日だそうですから。倒れぬよう、水分をたくさん摂ってください」

「おー…」


ありがたい休日の昼前。朝から始めた庭の草むしりはなかなか終わらず、昼食も兼ねて休憩をとっていたのだ。


暑がりの自分にとってこの暑さはなかなか堪えるが、目の前の雪路は見慣れた白い着物をぴっしり着こんでいる。


草むしりを手伝って貰っていたため、着物の袖は邪魔にならないよう留めてはある。普段見えない腕はびっくりするくらい白かった。


…反対に半袖1枚の俺。汗がびしゃびしゃで生地が張り付いて、背中が気持ち悪い。


雪路を見ているだけで暑くなるが、当の本人は涼しい顔でお茶を啜っていた。しかもホット。




「強いな…」

「はい?」

「イヤ…」


なんでもない、とごろっと畳に寝そべった。


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