はらり、ひとひら。
冷たい温度がどうにも心地よく、まどろみかけた瞼を無理矢理引き上げて、起きる。
「さっ、日が暮れる前までにやっちゃおうか」
「はい」
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黙々と草を引っこ抜く。それにしても毎年毎年、律儀に生えやがって…くそう、除草剤でも撒くべきか。
「あっちー…」
座りっぱなしで悲鳴をあげる腰を労わりつつ立ち上がると、少し離れたところで雪路は黙々と地面と向き合っていた。
白いかんばせを見やるが、俺の視線には全く気付いていないようで。
ほんとに、真面目で律儀だ。と微笑ましく思っていると、足元にトン、と何かが当たる。
一瞬蛇かと思いぎょっとしたが、ホースだった。
「なんでこんなとこに…」
いつもはぐるっと丸めて収納してあるのに、ここに放置されているのは珍しい。俺は触った記憶がないし、雪路だったら所定の場所に戻すはず。
…となると、
「…蛟か」
それしかない。