はらり、ひとひら。


「ったく、水浴びすんのはいいけど片づけろって…」


再三言っても超のつくマイペースのあの龍神はへらへら笑って「わかった、わかった」と生返事だ。


あんなゆるいキャラでも神様の端くれなんだから、いまいちよくわからない。


「…先にこれ片づけるか」


足引っ掻けて転んだら危ないし、とホースを丸めはじめると繋がれた先、庭に設置された水道のところに犯人発見。


「み…」

「しっ」


名前を呼ぼうとすると、蛟はしーっと指を立てた。

…なんだ?


蛟は楽しそうに笑って、ホースを雪路に向けるようジェスチャーで示した。大体を察した俺は首を振って駄目だと訴える。


いやいや、雪路めちゃくちゃ怒るだろ。


やれやれと肩を竦めた蛟は俺からホースを奪い取り、未だこちらに気づいていない雪路に向けると思い切り蛇口を捻った。



「っきゃああ!??」

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