はらり、ひとひら。
飛び跳ねた。猫だ。
「ひ、つっ冷た…!!何するのよ蛟!」
「あはははは!ドッキリ大成功、イエーイ」
けらけら笑って、蛟はホースの先を絞ってシャワーのようにする。うわ、こっちにも飛ぶからそれやめろって!
濡れ鼠のようになった雪路は声を荒げて立ち上がって、ずかずかと寄ってくる。
「前から思っていたけど、蛟!貴方の行動は目に余るものがあります!!」
「あはは、顔真っ赤。雪路、蛸みたい」
「~~っこの!!」
ホースが嫌な音を立てる。あっと思った時にはそれは粉々に。きらきら氷の粒が舞う。
「覚悟なさい!」
「若い子は元気でいいねえ」
ばりばり音は雪路の氷。庭のあちこちから雪国よろしく巨大な氷柱が現れる。
目をぎらぎらさせる少女とは反対に、余裕で攻撃を躱している蛟はただのじゃれ合いを楽しんでいる様子だ。
「ちょ、うわーっ!!二人ともやーめろって!落ち着けっ─」