はらり、ひとひら。


「嫌です主様!不届き者には、お灸をすえてやらねばなりません!」

「あはははは~そっか。で樹、お灸って何?」

「あー…」


蛟ってなんでこんなに馬鹿なんだ?


ま、いいか。


半分ほど残る雑草を見たが、なんだか急に気の遠くなってきた俺は式神たちを止めもせず、縁側へ腰を下ろした。


一時休戦としよう。


「蛟ー!!」

「あはは」


元気に庭を跳ね回る彼らを見ながら、涼しい風を受けまどろむ。どうにも心地よい。


今度こそ眠気に抗えないのを薄く感じとり、でもそれもいいか。横になって休日の午後を堪能するとしよう。


大切な式神たちが駆ける音を聞きながら、家族のようだと心の底から幸せを感じた、そんなある日の話。



[夏日と白雪 了]




< 698 / 1,020 >

この作品をシェア

pagetop