はらり、ひとひら。


違う、私は“桜子”じゃない。


杏子だ。




「──うっ!」


突如、身体がドクンと跳ねた。…熱い。



体中の血がざわざわと煮えるような感覚だ。



「や、やだ・・・っ!」


恐い。恐い。恐い。



私は震える脚にむちを打って逃げ出した。ここにいてはいけないと、本能的に思った。


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