はらり、ひとひら。
どう抗っても明日は模試だっていう事実は覆せない。
「やだなぁ…数学絶対赤点だよ」
「あはは、大丈夫でしょ。杏子めちゃくちゃ頑張ってたじゃん」
「いやーっ…どうかな。ん、でも結構ヤマ当たるんだよね」
今回こそ赤点だ、って思っても、ギリギリ免れたりと私は何かと悪運がいいんだった。自分を信じよう。
「古典だけなら90とれるのに~」
「ほんっと杏子って古典得意よね。チートよチート」
「古典なら任せて!」
伊達におばあちゃんの遺した書物、読み漁ってないんだから。
「頑張ろうねー」
緊張感のない言葉だけど、後にも先にも、こんなに勉強することないだろう。
だから今は、ちょっとだけ。
頑張ってみようかな、と夕空を眺めた。
となりで眠る飛鳥の眼の下にある隈が心配で、努力家のこの子の満足いく結果になりますように、と切に願った。
…もちろん私も、負けてられないけど。
[女子といふもの 了]