はらり、ひとひら。
「っ」
駄目だ、びくともしない…!
何度も岩にぶつけた自分の尾に目をやれば(正確には澪の体だけど)、ぼろぼろだった。妖とはいえ傷の修復に時間はかかるようで。
「─っ…しっかりしろ、諦めるな!」
どれだけ時間が経ったろう。とにもかくにも、じっとして時間を過ごすより何か行動した方がいいと踏んだ私は、澪に捕まり目が覚めた時に居た場所─そう、師匠は霊界って言ってたっけ。
そこへどうにかもう一度行こうと、躍起になっていた。
何の変哲もない崖だけど、私は確かにここから出てきたんだ。
だったら入口だってこの辺のはず。
霊界っていうところに行けば元の体に戻るヒントがあるかもしれない!
もう一度勢いをつけて尾ひれをぶつけようとした、まさにその時。
「何やってんのさアンタ」