はらり、ひとひら。


混乱する頭で考える。術に詳しい人間なんて…私と、神崎君と…先生はわからないけど、でも二人がこんなことするはずない。


「こうやって魂を入れ替えたり、別のものに入れたりするのを『魂写し』っていうんだけど、妖と人で取り換えっこ、なんて聞いたことない」

「何が望みなんでしょう…」

「…さあ。そもそも魂写しはあまりに危険な術だし、ゆえにメジャーじゃない。失敗の時のリスクが大きすぎるんだ」


リスクって。


「術が未完成だったり何か不都合が起きると、どっちの体も魂もおじゃん。つまり死だ」

「…!?」


危うく死にかけてたってこと?

ぞっと寒気が襲ってきて、両腕を抱き込んだ。


─わかることはひとつ。


「犯人はあんたの本当の体と、人魚の体がどうなってもいいって思ってるんだ」


一体、そんな恐ろしいこと─誰が?


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【澪side】


退屈。窓の外をぼうっと眺めていると、変なリズムの鐘が鳴る。昼、か。

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