はらり、ひとひら。
【杏子side】
裏で手を引く人間。どうやらその人は私を殺そうとしているらしい。
何が目的なのかさっぱりだけど、こちとらまだ20年も生きていない。まだまだ生きさせてもらうつもりだ。
「教えてください!!私はどうしたらいいんでしょうか。元の体に戻りたいです」
頭を下げると淡島さんは長い溜息をついて首を振った。
「無理だよ。こんな危険な術、迂闊に手を出せない。解呪のまじないも、人間体でやるから効果があるんだし、…残念だけど諦めるか待つかどっちかだ」
「…そんな……」
完全にもう打つ手がない。絶望で気がおかしくなりそうだけど、唇を噛んで堪える。
何か、何かあるはず。術の綻び。
そこを突いてしまえば術は解けるはずなんだ。
「アンタと入れ替わった妖はどうしたんだい?」
「…私の大切な人たちを殺す、と言っていました。どうしたら…」
こうなったらもう、この体でみんなを守るしかないのだろうか。澪を攻撃して私の本当の体を壊してしまったら、もし無事に魂が戻れても…待つのは死なのだし。
待つしかないなら私は何か、行動をする。