はらり、ひとひら。
ちりん。ひた、ひた。
廊下の向こう、闇の中から─誰か、来る。
ぶるりと背筋が震えた。異様な気配に体が動かない。
「主様!」
庇うように雪路がオレに寄り添う。
「鈴の音…?」
「おぞましい気配が致します」
押し殺した彼女の声に背筋をぴんと張る。息を殺していると、臨戦状態だった傀儡は急に力を無くし、地に叩き付けられた。
無残に散る欠片、うそみたいに静かな終わり。
「何だ…?」
ころり、とオレの足元に鞠が転がる。
「お人形遊びは、楽しんでもらえた?」
─威圧感。
歩くたびに銀の髪が揺れて、リズムを刻むように高い鈴の音が鳴る。
喪服を身にまとった銀髪の少女。背丈は低く、小学生のように見える。が、こんなに異質な気を放つ子供はいない。
妖だ。