はらり、ひとひら。
「なッ、ぐえっ…! まっ…待って」
「どーっかで見たことあるんだよねえ、お客さん」
いだだだだ! 腕もげる!
男の人は社務所から身を乗り出して、顔を近づけた。こりゃまた端正な顔立ちでいらっしゃる。こうしてちゃんと見ると日本人だけど、道理で金髪が浮かないわけだ。
でもそれより今は。
「ちょ、腕が取れます…!」
「俺と会ったことある?」
「ないです! 初対面です!」
ひいい近い! 美男子免疫ゼロの女にこういうことするのよくない! 勘弁してくださいと腕を振りほどこうとしたとき、よく響く女の子の声が社務所に響いた。
「ちづ兄っ!!」
「げっ」
今この人、げっ、って言ったな? 軽く謝られ、声の主の方に目を向けると今度はその女の子の恰好に目を丸くする番だった。
─巫女服。