はらり、ひとひら。


…って、そりゃそうだ。ここは神社、本職の巫女さんがいてもおかしくない。


一瞬同業者かと思ったけれど、本当の神職の巫女と妖祓いの役目を果たす私は似て非なる。

本職の巫女は、神道に仕えて神事を行うどちらかというと『受け入れる側』の人だけれど、私はそもそも妖を祓うのが大きな役目だ。『奪う側』に過ぎない。


そもそも私の巫女服は変形しているから正式に"巫女服"と呼べないかもしれない。

そのくらいのレベルで、私を示す巫女という定義は曖昧だ。



「すみません、御無礼を…あの…大丈夫でしたか?」


居心地悪そうにするその子にようやく気付く。見つめすぎていたらしい。いけない、失礼だ。


「こちらこそごめんなさい、見つめちゃって。巫女さんなんですね」


「はい。まだまだ見習い中の、ほんの兄たちのお手伝いくらいしかできないんですけど」


兄?

ふわふわの巻き毛のかわいらしい巫女さんの視線の先にいるのは紛れもなく、さっきの金髪のお兄さん。


…兄妹なんだ。
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