はらり、ひとひら。
「…似てないですね」
「あはは、よく言われます」
「でも俺イケメンでしょ?」
「ちづ兄は黙ってて」
茶化すお兄さんに、少女の容赦ない声が刺さって可笑しい。兄妹でもこんなに似ない人っているんだなあ。私と海斗はよく人に「似てる」と言われるから真逆。特に目が似ているらしい。
「あー…やっぱり似てる」
「はい?」
なんだ。読心術か。
「いや…うーん、誰だっけあんた、誰かに似てるすっげー似てる」
「はあ…」
「誰だっけあーもやもやする。月子知らねえ?」
「え。知らないよ」
お兄さんは「あー」とか「うえー」とか唸りながら額を押さえた。そんなに言われると気になってしまう。
「…あ!!!」
「千鶴、ここの問題ってさー」
お兄さんと私が目を見張ったのはほぼ同時。…え!?