はらり、ひとひら。


び…っくりした!


「ふは、びびりすぎ!」

「………すみません。…熱いうちに、どうぞ」


千鶴さんは尻尾を踏まれた猫よろしく飛んだ私を見てけらけら笑う。笑い声にかき消されそうなか細い声で、黒髪の青年はお盆を持って座敷から出ていく。


あぁ、驚きすぎて謝り損ねた。でも気配を全く感じなかったから妖かと思ってしまった…失礼すぎる。


「そんなにびびった?」

「ごめんなさい…失礼でしたよね」

「あー、いいよ別に。あいつも慣れてるだろうし」

「…ご兄弟ですか?」


桜の湯呑を眺めがら訊ねて、思いもよらない返事に私は目を剥いた。


「今のは俺の双子の弟。名前は陸」


…え


「双子!?」

「そ。似てないだろ」


え、え? 似てないどころじゃない。


「二卵性だからな。見た目も性格もまんま逆。年の近い弟って感じだよ」

「へえ…」


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