はらり、ひとひら。


でも本当にそろそろどうするか考えなきゃな。苦い顔をしながら頂いたお茶を飲む。


「…!」

ひとくち口を付けただけでわかる。なにこれ…

「すっごいおいしい…」

革新的なおいしさだ。お茶のことはあまり詳しくはないけど、温度も香りもすごく洗練されている…と思う。素人目から見て、だ。

「あ、ほんと? じゃあいい茶葉使ったのかもねえ」

「すごい、びっくりするくらい美味しいです。ほうじ茶…?」


千鶴さんも自分の湯呑に口をつけて、頷いた。

「可愛い子来たから陸の奴、気合入れたんじゃねえかな」

「いやいやそんなわけ」

冗談はよしこさんです、と言うと千鶴さんはいつのギャグだよ、と爆笑した。

「あれ? ちづ兄ここは?」

「んあ」

ぱりぱりと千鶴さんが煎餅を食べる小気味いい音と、海斗のシャーペンが紙を走る音。少し遠くから聞こえる水の流れる音は…陸さんだろうか。

心が安らぐ。なんだろう、この神社はとても居心地がいい。


ほう、と目を閉じていると徐に襖があいた。
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