はらり、ひとひら。
嬉しそうな千鶴さんの声。
「…おぉ!? ひっさしぶりだなあ真澄!」
「うん。久しぶり」
…真澄? ぱちっと目を開けると月子ちゃんの隣にいたのは見慣れた彼。
「で、えっ、か、神崎くん!?」
「椎名さん?」
驚いたのは私だけじゃなかったのか、彼まで目を丸くしていた。
「知り合いか? おいまっすーもしかして彼女?」
「違うよ。クラスメイト」
後その呼び方やめて、と肩に腕を回す千鶴さんを振り払う神崎くんの塩対応ぶりに笑いそうになる。
「兄さんこそ、どうしてここに椎名さんがいるの」
「まーまー妬くなって。このチビっ子の姉ちゃんなんだとよ」
「…こんにちは」
なんだか状況がカオスだ。海斗は神崎くんにぺこりと頭を下げた。確かこの二人は初対面じゃなかった気が…
「あぁ、あの時の。久しぶり」
微笑むと少し照れ気味に海斗は前髪を梳いた。そうか、よく考えれば海斗と神崎くんが会ったのは一回きりか…高1の冬、私の家に神崎くんをお呼びして一緒にご飯を食べたあの夜以来。