はらり、ひとひら。


「妖祓いがイコールで斬る、じゃない。斬っても奴らはまた蘇って逢魔が時に闇と一緒に現世にやって来るしね。妖のなかには斬れる相手と物理攻撃が全く効かない相手もいるから…そういう奴らに使うのは、こういう道具を用いた術なんだ」


「へええ…」

そういえばそうか。一旦殺しても妖に確実な死はもたらせない。一時的にあの世に送り返すだけだ。そしてまた、宵闇と共にふらふら境界線を越えてきて、人の世に介入するんだ…


「椎名さんは術のスペシャリストだよね。こういう道具はあまり使わないの?」

「うーん道具…あんま使ったことないなぁ。せいぜい札と言霊くらいしかないかも」

「そっか」

ってスペシャリストって。そんな大げさな。


「…お姉さん、もしかして祓い屋さんですか?」


気づけば海斗の隣に座った月子ちゃんが目を丸くしていた。

…話聞かれてた! 


「祓い屋っていうか…んーなんていうんだろう? 巫女…? じゃなくて便利屋…かな」

「巫女さんなんですか!? 神職に身を置く者同士ぜひ仲良くしてください!!」

「うおお!?」


巫女というワードに反応して月子ちゃんは私の方へ食いつくように身を乗り出した。

両手でがっちり手をホールドされて、目の前にはキラキラな目の彼女、うわあ近い!!!
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