はらり、ひとひら。
「じゃあね。また月曜日」
何事もなかったかのように涼しい顔で手を振る彼に手を振って、別れた。
「千鶴さん引きずられて行ったけど大丈夫かな…」
「大丈夫ですよ多分」
「そう…?」
気がかりだけどまあ、いいか。
そこからは静かな時間が流れ出した。
さっきまでの喧騒が嘘みたいに、月子ちゃんはノートを広げて海斗と短い会話を交わしながら白紙のプリントを埋めていく。
ちくたくと秒針が時間を刻む音がやけに大きく聞こえる。海斗の腕時計か…
…ううん、若者二人の邪魔をしちゃいけないかな。どうしよう。自分が勉強教えられるほどの頭を持っていないのが悔やまれる。
千鶴さんと神崎くんを追いかけても邪魔になるだろうし…何か手伝えること、ないかな。
「? どこ行くの姉ちゃん」
「お手伝いできることないか聞いてくる!」
「は…? なんでまた」
「頑張ってる二人みたらじっとしてられなくって」
ぽかんとする中学生を二人残して、座敷を後にした。