はらり、ひとひら。
カラフルな広告に目が留まった。白黒の新聞の中に紛れひときわ目立つそれには、大きな文字でこう書かれていた。
『母の日ギフト』
・ ・ ・
「今週末、母の日かぁー」
昼休み。ジュースのストローを噛みつぶしながら秀くんが呟いた。実にタイムリーな話題だ。
「あ、私も昨日それ思い出したんだよね。広告見てさ」
「なんか贈んのみんな?」
雑誌を捲りながら飛鳥がんーと唸る。
「今探してるけどいいのない」
「まあ親としては何貰っても嬉しいしなぁ」
秀くんの言葉に同意だ。
「杏ちゃんは毎年、お母さんに何かあげてんの?」
「一応ねー。去年はケーキとカレー作って…その前の年はエプロンあげたよ」
「すげえー女の子~」
「なはは。照れますなあ」
かなり海斗に手伝って貰ったんだけどね。
「ケーキ…そっかその手もありか……んーでもやっぱ形として残る方が嬉しいかなあ…」
珍しく飛鳥はぶつぶつとひとり頭を悩ませていた。