はらり、ひとひら。
『待て、桜子─』
声が近づいてくる。
「はあ、は、やだ…!」
何か悪い夢をみているのだろうか。だったら早く覚めて、どうか。起きて「あぁよかった」と笑いたい。
でもじゃあどうしてこんなにリアルで鮮明なんだ。
『お前の『修羅の血』を寄越せぇ!!!』
笑い声とおどろおどろしい気配。
何が、どうしてこうなっているのかさっぱり理解できなかった。
「っ、う─」
木の根に足元をすくわれ、成すすべもなく転倒する。