はらり、ひとひら。


「矢野樹(やの いつき)です。一年間みんなよろしくお願いします!」


矢野先生は、深く頭を下げた。女子たちが息を呑んでいるのが空気で伝わる。確かにこの人、すごい格好いい。


ついじっと見ていることに自分でも気づき、視線をぱっと逸らす。


『なんだか胡散くさいぞあの小僧』


─え?声?
なんだろう、とあたりをきょろきょろ見回すがそれらしい声の主はみつからない。



「ぷはっ、苦しかった」


・・・!師匠!?


「ちょっとー?!何ついてきて・・・っ」


げ、声を思わず荒げてしまった。

クラスメイトの視線が容赦なく突き刺さる。

< 80 / 1,020 >

この作品をシェア

pagetop