はらり、ひとひら。
side-杏子
あれぇ? と我ながら頓狂な声をあげた。
なんでここにいるんだろう、と起き上がり、私は目の前の押入れを見た。ぼさぼさの髪をなでつけながら、立ち上がる。
制服のまま寝ちゃってたか…
皺になったらやだなぁ、と思いながら散らばった写真を見る。
「え? 私ホントに何やってたんだっけ」
…記憶があいまいだ。一回整理しよう。えっと今日は帰ってきて、おやつを食べて、母の日のプレゼントを考えながら課題をやって─
あっ、そうか。お母さんに合うものを考えてるうちに、お母さんの顔をみながら考えた方がいいっていうアイディアが浮かんだんだ。
それでアルバムを引っ張り出して、見てるうちに寝てたのか…
なんてこったい。
「うわぁちっちゃーい…」
日付を見るに、恐らく私だろう。1歳くらいだろうか。母の腕に抱かれ寝ている。
「面影ないなぁ」
…あるのかな? どうだろう、親にしかわからないなと笑いつつページを捲った。
─頭を鈍器で殴られたみたいに、もしくは心臓を直接握られたみたいに。
その写真を見た瞬間、ぎゅっと体が縮こまった。