はらり、ひとひら。
「可愛すぎ」なんて甘すぎる言葉に心臓が持たない。
「神崎くんってたまに意地悪だよねぇ…」
「男はそういう生き物なの」
「なんですと…!」
すごくすごく優しいくせに、急に悪戯っぽくなる。小悪魔め、とじっとり見上げると頭を撫でながら彼は笑う。
「なんだか楽になったよ。椎名さんの気持ちが伝わってきた」
「ほんと? よかったぁ」
私の言葉で彼が少しでも安心できるなら、これ以上幸せなことはない。
だって…好きな人だもん。わかりたいし、できることなら一緒に背負いたい。
「あのー…お熱いところ申し訳ないんですけど」
「わっ」
言いづらそうに月子ちゃんが手を挙げて、ため息をついた。
灯雅と師匠も呆れきった様子だ。
「おお危なかった。私らまでうっかり二人の世界に飲み込まれちまうところだったよ」
「生意気な。杏子には色恋は早いぞ。せめてあと半世紀待て」
私しわしわになるじゃんそれ!