はらり、ひとひら。
「鼻の下を伸ばしているところ悪いが、あの小僧から妖の気配がしたぞ」
「伸ばしてないよ!って…妖?そんなまさか」
まさかね…
妖が人に化けて学校に紛れ込んでいるとか?訊ねると師匠は「わからん」と首を傾げた。
神崎くんにかけてもらった優しい言葉を反芻する。疑うような要因は特に感じられない。
「気のせいじゃない?」
「馬鹿者。私がそんなヘマするわけないだろう」
「いやいやいや・・・真っ向から人を疑うのはよくないよ?」
苦笑いを浮かべて師匠をなだめてみたけど、師匠はまだ怪しんでいるようだった。
「とにかく、あいつは厄介なものを運んできそうな気がする。あまり関わるなよ」
そんな。折角いい友達になれると思ったのに。
私は胸にモヤモヤを抱えたまま家に帰宅した。