はらり、ひとひら。
「だが今日、たまたま俺と陸は二人とも外せない用事があって…月子に同伴できなくなっちまった。用を先に終わらせたほうが着いて行くって、止めたんだが月子は『一人でも平気だ』つって、家を飛び出しちまって」
「…!」
「何時間経っても帰ってこねえから、先に用事を終えた陸が森に見に行ったんだ。
そしたら、岩のすぐ側で…血だらけで倒れてた」
岩のすぐ側…ごくりと唾を呑む。
第六感、とでもいうんだろうか。偶然?
だがあんな辺鄙な場所に近づく輩の目的は、二つしかない。
結界を守るか、壊すか。
「月子だけじゃねえ。どうやら、心配したウチの手伝いが二人ほど着いてったらしいんだが…そっちの二人も」
「襲われてしまったの?」
「…あぁ。即死だったって」
「っ!」
言葉にならない嗚咽が喉をせり上げた。
なんてことだ。
「陸はすぐに人の手によるモンじゃねえ、と気づいたそうだ。現場に妖とよく似た獣の匂いが充満してたらしい」
「妖によく似た獣…?」