[完]大人の恋の始め方




あたしの言葉は、静かな部屋には、よく響いた。


「お前は、そんな事心配しなくていい」



それだけ言われると、あたしは優斗さんに抱きしめられた。



「…?!///」


言葉も出せないほどの驚き。



優斗さんは、あたしの肩にコツンと額を当てる。



座ったまま抱きしめられたあたしには、身動きが取れない。



「……なぁ、杏里?」


「ん?///」


優斗さんの、ちょっとだけかすれた声がダイレクトに耳に届く。



「俺、昔モデルやってたんだ」



えぇ?!

たしかにスタイルはいいけど!!


「姉貴もモデルをやってた。俺達は、ある会社の専属モデルだったんだ。」



「うん…」



あたしは、ただただ優斗さんの話を聞きたかった。



「もちろん、姉貴のあの容姿。すぐに会社に電話が殺到。あの子は誰!?って、なった。俺も、よくそういう電話が来てて、そのうち仕事が増えて行った。バイト感覚で始めたのに、それは俺達の身体を、精神をボロボロにした。」



…………つまり、優斗さんは



「分かるか?杏里。お前には、そんな目に、合ってほしくねぇんだよ!」



次の瞬間、優斗さんに苦しいほど強く抱きしめられた。



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