[完]大人の恋の始め方
「……ん?」
彼は、相変わらずあたしを見ない。
やっぱり、怒ってるらしい彼。
「あの、スマンな。変な事言って。俺は…その、杏里を連れてった事で、変な事に巻き込まれて悪かった」
………なぬ?!
「えぇ!?そういう意味だったの?!」
彼は、大きなため息を1度すると、真っすぐな瞳であたしを見た。
「別に、モデルなら断ってもいいんだぞ?」
もちろん、断りたい。
でも、たぶん無理だ。
あたしは、彼を安心させるために、微笑んだ。
「あたしは、頑張るよ!あ、もちろん、家事もだけど」
あたしのが顔を見て、ため息をつく優斗さん。
「ほんっと、お前ってやつは。不安MAXだろ?」
ククッと、笑いながら、あたしの隣に座る彼。
「超能力者だねぇ。まぁ、不安はあるよ?」
あたしは、ココアに口をつける。
その瞬間、甘い味が口いっぱいに広がる。
「超能力者ねぇ。そうかもな?だって、身体今冷えてただろ?」
やっぱり、ホットドリンクは故意だったんだ。
「そりゃ、こんな格好は寒いよ」
ふふっと笑えば、優斗さんも目を細めた。
なんだか…優斗さん優しいな。
ドS封印…?
「さてと、ちゃんと誤解も解けたし、元の俺に戻っていい?」
ニヤリと笑う表情には、優しいが跡形も無くなっていた。