[完]大人の恋の始め方
お互い、沈黙する。
もし、友美に拒絶されたらどうしよう?
仕方ないのかな。
普通に考えて、そんな友達嫌だよね?
あたし、友美と離れたら、誰か話してくれるかな?
友美と一緒にいない生活を想像して、思わず止めた。
全然楽しくない。
俯いて、ただ友美の言葉を待った。
「杏里、ゴメン」
その言葉と共に、頬に通った激痛。
渇いた音。
ビックリして目を見開いた瞬間には、腰に友美の腕が回っていた。
驚きで、あたしはただ固まってしまう。
一体、なにが起きたの?
ただ友美を見ていると、涙でぐちゃぐちゃな顔が、あたしを見た。
「もぉバカ!なんで黙ってたのよ!!それじゃ、男嫌いになるの当たり前じゃないっ!!!
それ知ってたら、友はオトリなんて頼まなかったのにっ」
え?
どういう事?
頭の上にいくつものハテナが浮かぶ。
ただ、友美はあたしの事を拒絶していない事だけは分かった。
あたしは、それだけで凄く嬉しくて、思わず笑顔になった。
これ程までに、友美の存在は大きい。
「もぉ!!笑い事じゃないんだから!余りにも、杏里が男嫌い過ぎるから、友はわざとオトリにさせてたんだよ!?」