[完]大人の恋の始め方
「もー、友美なんて知らないっ!」
あたしがプイッと、そっぽを向けば、友美は困ったようにあたしを見る。
「えー…杏里。許して?友のケーキいる??」
あたしに渡そうするのを、阻止する。
「いらない!てゆーか、それパフェだからっ!ケーキじゃないからっ」
あたしの言葉に、友美は目をパチパチとさせ、そうかと思えば爆笑しだした。
「間違えた~ッッ」
ほんと、その笑顔には叶いません。
友美は、凄く優しい笑顔をしている。
「でもさっ♪近藤先輩って、ケーキ食べるのかな!?」
興味津々で、彼等の姿を追う彼女に、またため息が出る。
「友美、本気で先輩狙うの?」
あたしの言葉に、困ったように微笑む友美。
「わかんない。正直、カッコイイとは思うけど、本気かどうかは…微妙?」
「でも好き」という彼女を、ジッと見つめる。
「カッコイイって思って、一目惚れしたら、本気じゃないの?」
カッコイイって思ったり、素敵と思ったり、そういうのって、惹かれるからこそ、持つ感情なのではないかと、あたしは思う。
「うーん。ちょっと違うかな?たぶんだけど、杏里は勘違いしてると思う」