[完]大人の恋の始め方
その直後、聞こえた男の人の声。
「てめぇ、何人に水かけてんだよっ!!」
「だからって、なんでコップ割るのよ!」
どうやら、後ろの人は修羅場だったようだ。
「なにあれ。男の癖に最低」
友美は、どうやら彼氏さんが気に入らないらしく睨んでいる。
そんな友美に気付いたのか、彼氏さんは、舌打ちをして店を出ていこうとした。
「ちょっと!!計!(けい)」
びしょびしょなまま、彼氏さんは店を出る。
すぐに店員さんが、割れたコップの処理を始める。
周りに迷惑かけんなよ。
思わず、思ってしまう。
「莉奈。なんでお前…」
泣きそうな彼女に話掛けたのは、近藤先輩だった。
「え、莉奈って、先輩の元カノ…」
初めて見たと、友美は莉奈さんをまじまじと見る。
莉奈さんは、真っ黒な髪をフワフワに巻いていて、身長も150も無いんじゃないかってくらい小さい。
守ってあげたくなる小動物ってやつだ。
「ったく。何してんだよ?今の彼氏?」
近藤先輩の言葉に、力無く頷く彼女。
「年下なの。でも、やっぱりダメ」
そう言って、莉奈さんは先輩に抱き着いた。
そんな二人を見て、友美はいきなり立ち上がる。
「なっ何?!どうしたの?」