[完]大人の恋の始め方




夜。


あたしと優斗さんと、ソファーに座りながらテレビを見ていた。



「そういえば、優斗さん。彼女が元カレとヨリが戻るようにって普通手伝うの?」



優斗さんは、目だけをこちらに向け、くすっと笑う。



「どうだろうな?でも、もし彼女の事、本気でも愛してて、彼女が元カレ好きだったら、そうするかな?」



やっぱり…そうなんだ。



あたしは昼間の出来事を思い出す。



計くん(←呼ばされた)は、莉奈さんがまだ、近藤先輩の事好きなのをあのカフェで知った。



そして、それを莉奈さんに聞いたら、「思い出させないで」と、水を掛けられた。


でも、それで核心した。


自分より、あの人の事が好きだと。


どうにかして戻してあげたかった計くんは、自分がコップを割って、周りに自分達の存在を知らせると共に、悪役を演じた。


そうすれば、近藤先輩が助けてくれると信じて。



なんだか悲しいよなぁー…。


本当に想っても、想い合えないなんて。



「おい、杏里?急にどうした?」


「ん?うん…。本気で愛しても愛して貰えないって悲しいなって………あ」


本気という言葉に、朝の事も思い出した。



そういえば、あたしが大翔先生に本気じゃなかったとか言われたなー。



< 125 / 500 >

この作品をシェア

pagetop