[完]大人の恋の始め方
日が進んだある日。
今日は、みんな朝から教室でガヤガヤ。
「ねー杏里も髪上げようよーっ」
友美がいつもの調子で、あたしに抱き着いてくる。
「えー…」
「だって、動きずらいでしょ?」
実は、今日は1年生歓迎会です。
うちの学校には伝統で、選抜メンバーによる女子はバレーボール、男子はバスケ、プラス全員での綱引きが行われるのです。
あたしと友美は、もとバレー部って事もあって選抜された。
そして、これは学年は関係なく、クラス対抗全学年で行われる。
つまり、2-Bであるあたし達の仲間は、1-Bと3-Bなのだ。
「ねー杏里っ!髪の毛アップにしよ?」
友美に終始無理矢理アップにはさせられるあたしの頭。
「あ!ヒロ先生~♪友のアップどぉ??」
教室に先生が入ってきたらしく、友美はそっちへ行ってしまう。
あたしの事を聞いたからって、今までの事を変える事がない友美に、ちょっと安心感を抱く。
「どぉってなんだよ?」
先生の楽しそうな声も聞こえて、ちょっと嫌だけど、何とか慣れてきた。
「杏里もアップにしたんだな?」
急に髪の毛を引っ張られ、その張本人のです顔を見る。
「響くん。友美に無理矢理やられたのぉ~」
あたしが自分の髪の毛を掴めば、響くんはフッと笑い、「だろうな?」と微笑んだ。