[完]大人の恋の始め方
◎Level 4
校内パニック!!
初の撮影を終えて約2週間。
5月の後半でジメジメと暑苦しい。
こんな暑苦しい季節に、あたしは一人体育館内の倉庫に隠れていた。
「……暑…」
今日は、生憎の雨。
気温が高いうえに、ジメジメとしていて最悪。
でも、最近はそれ以外にも最悪。
近くで足音がバタバタと聞こえ、息を呑む。
「もぉ~、杏里ちゃんいないよぉー!」
近くで聞こえる、女子の声。
「どこに隠れてるんだろぉ?」
「保健室は?」
バタバタと、離れて行く足音。
実は、モデルの仕事がきっかけで、写メだのサインだのを、最近よく迫られるのだ。
だけど、あたしそんなに凄いモデルじゃないし、第一サインなんか書いたこともない。
それに、お昼になるとほかの学年の男子とかもいっぱい教室に来る。
だから、最近まともに教室にいない。
まさか、こんなに校内がパニックになるなんて。
その時、倉庫の扉が開いた。
……大丈夫。
あたしは、物影に入ってて見えないはずだから。
けど、早く出てって…!
そう願って、目をギュッとつぶった。
ちょっとして、物音がしなくなり、あたしはゆっくり目を開いた。