[完]大人の恋の始め方
「っひっぎゃ…ンン!?」
目の前にいたのは男。
その男は、あたしの口を強く押さえる。
「静かにしろって!バレんだろ?!」
慌てた様子が、少し笑える。
けども………
苦しいッッ!!!
半端じゃなく苦しい!!!
彼の胸を押すと、すんなり離してくれた。
その瞬間、あたしは酸素を求める。
「もう!何すんのよ!?
響くん!!!」
へへっと笑う響くんに、あたしは溜息を漏らす。
心臓止まるかと思ったじゃん…。
「まさか、こんな所にいるなんてな」
まぁ、夏に近付くこの季節に、こんな蒸し暑い場所にいるのは、おかしいとは思うけど…。
「だって、逃げ場がないんだもん」
あたしがそう訴えると、響くんは隣に座りこんだ。
不思議。
響くんって、ほかの男の子達みたいに、変に警戒心を持たなくて済む。
それどころか、落ち着く。
なんか、優斗さんみたい。
「なぁんか、ほんとあちぃな」
ふと、彼を見ればうっすら汗をかいていた。
「暑いけど…出れないし……」
すると、真剣な表情で見つめられた。
「なぁ。なんでモデルになってんの?」
あたしは、そのストレートな質問に苦笑した。