[完]大人の恋の始め方
「何笑ってんだよ?」
「うん、ゴメン!だって、響くんって、いつも質問がストレートだなぁって思ってね」
あたしには分かりやすくていいけど。
あまり回りくどいのは、好きじゃない。
結局、何が言いたいの?ってなっちゃうから。
「オブラートに包むようなのは、無理だな。それで?」
響くんの質問に、あたしは今までの経緯を説明した。
「つまり、そのスタイルを見初められたわけか。つーか、俺お前が男と同棲するとは思わなかったわ」
響くんは、モデルの話よりも、優斗さんのほうが気になるらしい。
「同棲じゃなくて、二人暮らししてるの!」
なんで、そう"同棲"とか言うかなぁ。
「で、どんな奴なんだよ?」
妙に目を輝かせる響くんに、ひとつ溜息をつく。
「うんとね、」
と言いかけた途端、響くんの携帯が鳴った。
なんつータイミング。
どこかで、見られてないよね?ははっ
響くんは「わりっ」と言うと、通話ボタンを押した。
「ちょっとアンタ今どこ?!」
隣のあたしにまで聞こえる友美の声。
「え、いや…」
響くんもあたしをチラっと見る。
あたしは、友美からも逃げてる。
あの子、あたしにサインを求める威力が半端じゃない。
だから、あたしは息を潜めた。