[完]大人の恋の始め方
「そりゃ驚き。ヘアーメイクリストなんて、普通分からないよ?」
「それは、高杉さんが凄いからですよ!!」
高杉さんが担当した女優さんとか、モデルとか見てきたけど、全部その人に合ってるの。
その人の魅力を、高杉さんは引き出すのが、凄く上手なのだ。
「ははっ。嬉しい事言ってくれるね」
……あれ?
気のせいかな?
高杉さんの表情が曇った気がする。
だけど、すぐに笑顔になっちゃった。
「そういえば、杏里ちゃんは、なんであんな所であんな大荷物を持って居たの?」
「…――え?」
あんな所?
大荷物?
あ゙ーーーーー!!!!!
あたしは、ソファーにうなだれた。
高杉さんも、いくらか驚いている。
「どうしたの?」
「それが―…」
―――――――…………
あたしは、今までの経緯を説明した。
「そりゃ災難だな…」
「本当ですよ。海外に住むのに、まず一周するって、場所くらい決めて行けって話です」
あのバカ共が。
高杉さんは
「そっち?!」と笑っている。
あたし、変な事言ったのかなぁ?と首を傾けた。
「それより先に、これから住む所でしょ?」
「…あ。」
確かにィ~~~~~!!!!!
あたしは、又してもソファーにうなだれた。