[完]大人の恋の始め方
「ったく、何隠れてんだよ」
不機嫌丸出しの優斗さんに、言葉が出るわけがない。
誰か、なんでこんな状況なのか、説明してくれる?
「あっ、杏里いたぁ!手間掛けさせないでよねーッッ」
何が手間!?
「あの、高杉さん!生徒を、松本を離して下さい!」
大翔先生と、目が合う。
すぐにそらしたけど。
「あ?うるせーな、二重人格男が」
出ました、不機嫌俺様優斗さん。
怒気が含まれたその低く澄んだ声は、どこかで聞いた事がある気がして…。
っじゃなくて!!
「なんでいんの!?」
「いちゃ悪いかよ」
言葉を失うほどの即答ぶり。
え、あたしが間違ってるの?
そんな考えが浮かんでしまう程だ。
「ゴメン。質問を変えるね?どうしたの?」
もう、来た事には突っ込まないでおこう。
「おい、杏里。コイツだろ?相葉大翔」
「え?うん…」
それを確認すると、大翔先生にジリジリと詰め寄る優斗さん。
なんか…怒ってる?
あたしからは背中しか見えないけど、その背中からでも意とも簡単に、怒ってる事を感じる事ができる。
「てめぇとは、一度話したかったんだよ」
なんかッッ…優斗さんヤバくない?!