[完]大人の恋の始め方
「ほら、優斗さんもなんか言って下さい~ッッ」
すっかり黙り混んでしまった優斗さんの肩を揺らす。
「優斗。お願い!杏里ちゃんなら、できると思うのっ」
今までにないくらい必死な優里花さん。
てゆーか、何ができるのよ~ッッ
あたし、何も出来ないからぁ…
「杏里ちゃん。実はね、あたしパリにお店構えるのが夢なの。だけど、やっぱり本場では難しいってゆうか、それなりの業績も残さなきゃいけないし。だからお願い!うちのドレスが1番似合うのは、杏里ちゃんなのッッ」
目一杯頭を下げる優里花さん。
あたしは、そんな優里花さんの姿は見たくない。
「姉貴。俺も行くなら反対しねーよ」
「優斗…」
え?
ちょっと待って?
これ、行くの確定?
「…あの、」
「優斗ありがとう!!優斗ならOKしてくれると思ってた!」
優里花さんは、優斗さんに抱き着く。
「ったく。離れろよ、気持ちわりー」
嫌がりつつ、どこか嬉しそうな優斗さん。
うん。ちょっと待て。
当の本人は?
まだ、なんも答えてないんだけど…
固まるあたしをよそに、勝手に喜ぶ優里花さん。
これはもう、断れないと諦めた。