[完]大人の恋の始め方
どれくらい寝ていたのだろうか?
携帯の着信音で目が覚めた。
「…ふぁい?」
相手も見ずに出た電話。
しかも、寝起きだったから、呂律が回らなかった。
先生とかだったらどうしようかと思ったが、それは大丈夫だった。
「あ、杏里ぃ~!もしかして寝てた?」
相手は友美だ。
「うーん、寝てた…」
「うっそ!寝んの早くない!?」
……ふぇ?
あれ、まだ4時だよね…?
「え、昼寝だけど…」
「は?!もう9時だよ?」
…………なぬー?!?!
あたしは、急いで自室を飛び出した。
そしてリビングに駆け込む。
「…あれ?」
リビングに優斗さんの姿はない。
もしかして、怒って寝ちゃった?!
いや、明日まずいよ、ソレ!!
絶対怒られる…!!
「もしもーし?杏里、大丈夫?」
「え?!あ、うん。ヤバい…」
明日、生きていられるかどうか…。
「ヤバいって言えばさぁ、優斗さんってヤバいイケメンなのねーッッ」
…今、優斗さんの名前を出さないでくれーッッ
「いや、顔だけだからっ。あたし、明日生きていられるかどうか…」
その瞬間、後ろから嫌な気配がした。