[完]大人の恋の始め方
「え、杏里。本気で知らない?モデル界の新プリンセス…」
モデル界の新プリンセス…?
「何それっ」
可笑しそうに笑えば、友美は真剣な表情であたしを覗き込む。
「ねぇ杏里」
「ん?」
ぽかんとして、友美を見る。
「アンタ馬鹿?」
………………はい?
「プリンセスは、杏里の事だよ?」
…………。
「「はぁぁぁぁ?!?!?!」」
どうやら優斗さんも知らなかったらしく、二人の声がこだました。
「え?待って、何かの間違い…」
「んなわけないでしょ。じゃなきゃ、普通校内があんなにパニック状態にはならないって」
そういえば、何人かは、あたしの事"姫"って呼んでたなぁ…。
あれって、そういう意味だったわけ…?
「にしても、意外だねぇ?テレビっ子の杏里が」
「あの…最近忙しくて」
目まぐるしく変わる生活で、正直テレビを見る余裕がなかった。
「だから、あたしはフランスに移転、移住しちゃうと思ったわけ。しかも優斗さん一緒とか、かなりビビるから」
ほう…。
あたしの知らないところで、そんな事が。
「なぁ、友美ちゃん?今更な質問していいか?」