[完]大人の恋の始め方
「聞いてないッッ」
友美を問い詰めようとすると、彼女は勝手にベッドに入り込む。
「てゆーか、友眠いから寝る~。走って疲れたの~」
…相変わらずマイペースなやつだ。
だけど、心配して走ってきてくれてありがとう。
あたしは布団を掛けると、リビングに向かった。
そこで目に入るのは、コーヒーを飲んでいる優斗さん。
この人の事を……。
そこまで考えて、消した。
「優斗さん、今日ご飯ゴメンね?」
後ろから声を掛けたからか、驚いたように振り返られる。
「あー、適当に食った。杏里も飲むか?」
頷くと、優斗さんはキッチンに向かう。
あたしは、それを見送り、ソファーに座る。
「ほら」
あたし用に、ミルクと砂糖が入った甘いコーヒー。
「ありがとう」
そして、あたしはさっき友美にモデルの事で言われた事、焦った事、不安な事を打ち明けた。
「あたし、だらし無いよね?」
今だって、不安で仕方ない。
「いや、普通じゃね?ただ、お前にはまぁなんだ?お前の言うところの本格派のモデルを目指して欲しいかなぁ」
「え?」
まさか優斗さんからそんな事言われるとは思わなくて、ビックリする。