[完]大人の恋の始め方
「優斗さぁーん…あたし無理ですぅ~」
涙目で見ると、その涙は手早く優斗さんが紙で取り除く。
「泣いたらメイク崩れんだろが」
ひーッッ
鬼だよ!鬼ィ!!!
「だって、不安で押し潰されそうなんだもん…」
手を強く握るけど、余計肩に力が入ってしまう。
優斗さんは、そんなあたしの言葉を聞いているのか、いないのか。
あたしの顔を覗き込んで、ファンデーションの微調整をする。
「何が不安なんだよ?」
今度は、コテを取り出す。
「全部」
全部よ。
全てなのよッッ!!!
もう、さっきから周りは余裕な表情なのに…
あたしはまるでダメ。
「くくっ。全部とか」
「何がおかしいわけ!?こっちは必死なのに…!」
本当は、立ち上がって睨みたいけど、火傷したくないから動かない。
「ふっ。大丈夫だよ。今日のドレスなら」
「なんで?」
今日のあたしが着ているドレス。
それは、着物とドレスが組み合わせられたもの。
胸元が大胆に開かれてるのは、正直恥ずかしいけど、大人っぽいエロスがある。
それが、あたしは意外と好きだったり。