[完]大人の恋の始め方
「……ウルウル…上目遣い……?」
なんのこと?
わかんなくて、楽さんをジッと見る。
「~っ!だから、それだよ!俺を見上げるその顔!///」
「…………は?」
見上げる顔。
それはまぁ、理解出来る。
あたしより身長の高い楽さんを見るには、見上げなければならない。
けど、なんでウルウル??
あたし、泣いた記憶がないんだけど。
むしろ、さっきまで怒り狂ってる状態だった。
ん…?
怒り浸透して…?
「頭に血が上り過ぎて、顔真っ赤で涙目だったよ~?」
すっかり調子を取り戻した楽さんが、ニヤリとあたしを覗き込む。
あわわわっ!!!
余りの近さに、後退する。
「近すぎっ!!てゆーか、何上目遣いくらいで照れてるんですかっ」
姿勢を正し、再び歩き出す。
「分かってないな~!上目遣いってのは、男のロマンなんだよぉ~!!」
得意げに話す楽さんは、少し笑える。
「何がロマンですか~」
でも、よく上目遣いする女の子とかいるよねー。
て、言っても。
あたしが、上目遣いをしたら相手に吐かれそう。
しっかり楽に上目遣いをして、楽が照れたのを見たのにも関わらず、こんな事を思うおバカな杏里であった。