[完]大人の恋の始め方
「あらそぉ~??嬉しい事じゃな~い!」
………ダメだ。
何を言っても通じない。
「それより、こちらの方は?っ………て!!楽さんっ!!」
楽さんを見るなり驚く父。
「ご無沙汰しております」
ニコッと微笑む楽さんは、今までに無いくらいキラキラしている。
「何?楽さんと知り合い??」
ポケッと、首を傾げると、父は首を大きく縦に動かす。
「知り合いもなんも、うちの常連様だよ」
「なんで常連くらいでヘコヘコ頭下げるわけ?」
いや、大事なお客様だけどさ?
だって楽さんだよ…?
このお気楽で陽気な人だよ…?
ちょっと不信に思っちゃうあたしはコドモ…?
「杏里ちゃんっ!その方は、フランスのメンズブランド"Gentleman"の社長様なのよ?」
「………………は?」
社長…?
え、Gentlemanって言えば、世界中で有名なブランドだよ?!
ちょっと待って!?
楽さんって、めっちゃ偉い人?!
嘘でしょーっっ!?
「信じられない?」
相変わらずキラキラフェイスであたしを見つめる。
「当たり前だよっ!なんで言ってくれなかったんですか!?」