[完]大人の恋の始め方
すると、不敵な笑みを浮かべ、あたしの耳に口を近付ける。
「杏里ちゃんの驚く顔が、見たかったから」
ふっと、鼻で笑う彼の顔は、今までで1番男らしくて、色っぽい。
そんな楽さんに見とれていると、隣からニタニタ顔の母がジッとあたしを見てくる。
「何?」
余りにも気持ち悪くて、冷たい言い方になってしまう。
「何って、も~♪二人は恋人なの?」
こういう人だよ。ホント。
「違うよ。たまたま会場で会って、話し掛けてくれたの」
余りにも端折った質問に、流石の母も困惑している様子。
「そう。で、結婚はいつ?」
ズテンッ!!!
どうやら困惑なんて一切なし。
言うなら、人の話を聞いてなかったらしい。
元からバカだとは思ってたけど…限度を超してるよ!!!
「だーかーらー!!!付き合ってないの!!」
すると、「え~、そうなのぉ?」と寂しそうな顔をする母と、安心しきった顔をする父。
「もう!ママは勝手に話進め過ぎなのよ!!」
「え~?今更でしょ?」
………完全に開き直っちゃったよ、この人。
これには、流石の楽さんも苦笑い………
かと思いきや。
「お母さん、いい根性してるね」
って。
観点違うから~ッッ!!!