[完]大人の恋の始め方
優斗さんは、あたしが大事ですか?
ふとそんな疑問を抱いた。
「大事もなんも、こいつは俺の片思い中の女だからな」
「ちょっ…優斗さん?///」
昨日も言われたけど、それは本気ですか?
と、3人で話を進めていると、パパが1つ椅子を引いた。
そこは、あたしの楽さんと反対隣の席。
「とりあえず、座ったらどうかな?」
父の提案で、あたし達は席に着く。
「あのー、まず質問なんだけど、だぁれ?」
バカ丸出しの質問をするのは母だ。
「あ、申し遅れました。私、高杉優斗といいます。日本でヘアメイクの仕事をさせて頂いています」
丁寧な自己紹介のあと、名刺を渡す優斗さん。
それが、なんだか大人な男性に見えて、胸が苦しくなった。
「まぁ!じゃあ、もしかして杏里ちゃんの髪の毛とかも?」
興奮気味の母が目を輝かせる。
「えぇ。やらせて頂いてます」
なんて会話はするけど…
このシチュエーションどうするの?!
右隣には優斗さん。左隣には楽さん。
二人の男性に囲まれるあたしって、おかしくない!?
「ところで杏里。実際どちらと付き合ってるんだ?」
今まで黙っていた父が、素っ頓狂な質問を投げかける。